坂勘と呼ばれた先代と、中山道贄川宿

信州塩尻中山道33番目の宿場町 贄川宿-niekawa-
奈良井川の谷間で両側にそびえる
山々の風を受ける古めかしい暮らしの場。

お山の向こうから差し込む日の出を待つ朝は遅く、オレンジに色づく前にお山に沈む夕刻はなお早い。

新緑は眩しく紅葉の色づきはコントラストが強く
冬の白が覆う世界は冷たくて暖かい。

ここは長野県の真ん中あたり。
100年前から、ワイン造りと、江戸時代から漆器産業が盛んな塩尻市の南側。
京の都と江戸の都を繋いだ街道 中山道の宿場町。

関所を有し商売に栄えた、かつての宿場は昭和5年の大火で燃え堕ち、そこにまた暮らしの風景が再生されて90有余年。

宿場noie 坂勘-sakakan- として再生された古旅館は、【諏訪坂勘助】という名を3代襲名した地域の名家でした。

かつては「坂本屋旅館」という名で旅籠(はたご/旅の人の為の旅)を、高崎宿(群馬県)では木曽漆器を販売する雑貨店を営み、3代に渡り商をしていたのだそうです。

家主の名である諏訪坂勘助の愛称から「坂勘-sakakan- さん」と地域では親しまれていたお家だったのだそうです。先代が亡くなられてから空き家となり、2019年大家さんとご縁をいただいたことがきっかけとなりこの坂勘さんをお借りすることとなりました。

16部屋の母屋/2つの土蔵と中庭/畑と農機具倉庫。
坂勘はかつての旅籠の営みから成る
趣を感じながら、新たな人々の暮らしの場と
なる新たな時間軸を生み出していくのです。

特別なものはありはしない。
かつての宿場の田舎町。

暮らしの営みが雲の流れと同じく、ぷかぷかと。
山と山が連なる合間に広がる空が、ゆらゆらと。

あたりまえに続く日々が暖かな暮らしの場。

「おかえり。」

が、あなたを待っている。